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執筆者の写真onononor

六古窯 ―〈和〉のやきもの(出光美術館)

更新日:2019年5月14日


期間 2019.4.6.sat-6.9.sun

http://idemitsu-museum.or.jp/exhibition/present/


展示品概要(展示品数:104)
  • ◉国宝:0点

  • ◎重要文化財:3点

  • ○重要美術品:4点

展覧会構成
  1. 中世陶器の系譜 ―瓷器系・須恵器系・土師器系

  2. 六古窯と中世諸窯

  3. 中世陶器の系譜から発展した茶陶

  4. 中世の人々が好んだ唐物

  5. 後世の眼が見た中世のやきもの

  6. 特別展示①中世のひとびとの〈こころ〉

  7. 特別展示②おおきいやきもの

  8. 特別展示③茶入

六古窯とは
  • 中世から続く窯、瀬戸窯、常滑窯、越前窯、信楽窯、丹波窯、備前窯のことです。

  • 昭和30年代に古陶磁学者・小山冨士夫氏によって提唱されました。

  • なお、中世とは、だいたい平安時代後期(12世紀)から鎌倉・室町時代(15世紀)くらいです。

櫛目波状文四耳壺 珠洲窯 鎌倉時代前期 出光美術館蔵

中世の陶器は、瓷器(しき)系、須恵器(すえき)系、土師器(はじき)系の3つに分けられるようです。

「櫛目波状文四耳壺」は須恵器系の珠洲窯でつくられたものです。

須恵器系陶器は、古代の須恵器の焼成法を継承し、焼成の最後に燻(く)べ焼き還元焔焼成を行い、炭素分を器壁に吸着させ、表面が青灰色になるのが特徴のようです。


短頸共蓋壺 猿投窯 平安時代 出光美術館蔵

「短頸共蓋壺」は瓷器系の猿投窯でつくられたものです。猿投窯では、平安時代(9世紀後半)から本格的に灰釉陶器が生産されているようです。本作品は、灰釉が珠簾状に流れています。

瓷器系陶器の窯は、猿投窯を中心とした古代灰釉陶器の制作技法を踏襲する窯であり、酸化焔焼成による施釉陶器と赤焼きの焼締陶器を焼造した窯とに分類されているようです。

(重要文化財)灰釉牡丹文広口壺 瀬戸窯 鎌倉時代後期 東京国立博物館蔵

「(重要文化財)灰釉牡丹広口壺」は、瀬戸窯でつくられたものです。

瀬戸窯は、12世紀末の平安時代末期頃から鎌倉時代初期に、猿投窯の技術を継承して誕生した窯であり、中世古窯唯一の施釉陶器窯です。なお、このうち鎌倉時代から室町時代中期頃までにつくられたものを「古瀬戸」と称すようです。なぜ、室町時代までのものをわざわざ「古瀬戸」と分けて称しているのかは私の勉強不足でよくわかりません。。。

鉄釉蕨文広口壺 瀬戸窯 鎌倉時代後期 出光美術館蔵

「鉄釉蕨広口壺」も、瀬戸窯でつくられたものです。

蕨の模様がかわいいです。蕨の模様はあまり均整ではないですが、それがまた自然な味を醸し出しているように思います。


(重要文化財)灰釉葦鷺文三耳壺(部分) 渥美窯 愛知県陶磁博物館蔵

「(重要文化財)灰釉葦鷺文三耳壺」に彫られている文様の一部です。裏側には全く違う文様が彫られています。素人が見てもこれらの植物や鳥が、葦と鷺とはわかりませんが、本展覧会では動物の文様がある作品は少なかったので印象に残りました。近代数寄者・松永耳庵氏の旧蔵品らしいです。

なお、本作品は、重要文化財ですが、渥美の壺で他に国宝の「(国宝)秋草文大壺」(慶應義塾蔵)も有名のようです。


(重要文化財)四季日待図巻(部分) 英一蝶 出光美術館蔵

「(重要文化財)四季日待図巻」に擂鉢(すりばち)を使っている場面が見られます。日常生活品として、壺、甕(かめ)、擂鉢がとても流通されていたようです。擂鉢は練ったりすり潰したり、万能調理器具として使われたようです。何をすり潰しているんでしょうか。お手伝いしている小さい子供もかわいいです。


「鬼桶水指」は、信楽窯でつくられたものです。壺、甕、擂鉢だけでなく、次第に茶陶がつくられるようになってきます。茶道では中国からの輸入品である唐物が重宝されていましたが、和物も重要視されるようになってきます。信楽の緋色の土の水指、渋い感じがします。鬼桶水指は、もともと麻の繊維を水に浸けてほぐすための農業用具「緒桶」を水指に見立て、それがなまって「鬼桶」という名称がついたとされるらしいです。ごつごつした感じと色が鬼っぽいからかと思っていましたが違うようです。



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